トラットラットラット!
親友宅で「トラ・トラ・トラ」をBDで観る。
記憶懐かしい日米合作黒沢降板作品である。
封切り当時3回映画館で観たっきり、かなりいい加減な記憶の霧の中
特撮シーン以外は、まったく覚えていなかった。
「スゲー!」という印象だけは残っていたが・・・
今回観て、なぜ記憶に無いのかが判った。
理屈と史実に対するいいわけと特撮でつながれた、シチュエーション
だけの作品と言ってしまっても後悔がない・・・と、思う。
公開当時は「うん・ウン・・・そうなんだヨ!」とか、物知り風の
感想を仲間内で披露し合っていた。
しかし・・・ドラマがない!人がいない!!・・・そこで、ハタッと思い当たった。
黒沢は「ドラマか・・・娯楽か・・・」作品の基本方針で行き詰まったのでは
ないだろうかと・・・・
セットの完成度だの米側との軋轢だのと言われていたが、どう撮るのか
どう作るのか・・・どの路線で観客に渡すのか?
公開作の日本側キャストは、まるで東映城で撮った忠臣蔵のような
総花的な顔ぶれで、素人を山本五十六に据えた黒沢のアプローチとは
対局にある。
以前「黒沢のトラ・トラ・トラの絵コンテ」を見たことがあるが、
そこに描かれている特撮シーンは今のCGであれば可能だろうが
当時のアナログ技術では、不可能と思えるモノであった。
後年の「影武者」の戦闘シーン・・・累々とうごめく騎馬のスロー
モーション・・・あれは「トラ・トラ・トラ」で撮りたかったカット
ではなかったか?
そんなことを考えながら親友に言った。
「どこかでパールハーバーと二本立て上映しないかな?ヒヒヒ!!」