初子は何処に住む?
2008年11月18日

「赤い文化住宅の初子」である。
太田出版の同名漫画が原作の作品である。
主人公もその兄も・・・嫌いなタイプのキャラなのだが・・・
ともかく積極性と工夫といったものには全くの無縁で、流されて
生活してゆくタイプなのである。
この作品の見所は、この二人がとってもビンボなのだが、作品中には
一言も「貧乏」というセリフがないことなのだ。
特に目をひいた印象的なシーンは、初子が炊飯器からやっとこそげ取る
ようにしてご飯を盛り、お湯だけをかけて食べるところ・・・
ガッツクでもなく嫌々でもなく、ごく普通の表情をしてタンタンと
食べてゆくだけ・・・しかしこのシーンだけで、初子のキャラが判って
しまうくらい普通なのである。
イロイロとビンボに絡んだエピソードは出てくるが、ごく普通の
中三女子の物語である。
レンタルならお勧めの作品・・・かな~?・・・
Posted by ダッタ at
20:42
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~さくらのその~
2008年11月10日

原作は雑誌掲載当時から読んでいたし・・・前作の、つみきみほも観ているんだけど・・・
前者と比べて、いいと思ったのは関えり香さんの設定くらいかな・・・
チェーホフの戯作とラップさせたシチュエーションは、前作にない構成で脚本をふくらませるチャンスを広げているはずなのに・・・食い足りない作品になってしまっていた。
奇しくも作品の中で「もっと女のいやらしさをだして!」というセリフがあるんだけど、全くそのとおりの作品評である。
稚拙な素人考えながら、キャラへの「イジメ」が足りないのではないだろうか?
私がシナリオに手を入れるとすると・・・(以下の設定は当然ながら本映画とは、まったく異なります)
たとえば主人公は「賞取りテクニック」ばかりの音楽師匠に、アイデンティティーもパーソナリティーも否定され、自己の発現場所を求めている。
委員長は、優等生の要求抑圧から自宅の個室でたばこを吸っている。
高飛びの選手は膝を痛め、通っているスポーツケアのインストラクターの男に片思いしているが、コーチの先生と男は結婚の直前までいっている。
ムードメーカーのコンビは、片方が誠意のないカレシにより暴力を受けながらも追いかけをしており、コンビの片割れとは絶交状態にある。
そんな彼女たちの逃避の場所として「櫻の園」が核となってエピソードが展開していく。
主人公は自己表現として、舞台の目的を「紅天女」にまで高めようとしたり、委員長と高跳び選手は委員長の片思いが募って自殺騒ぎの一歩手前まで発展する。
う~ん・・・重そう・・・でもこの時期の健全な少年少女は、このくらに心の中ではアップダウンしていると思うけどナー・・・
前出の「女のいやらしさ」で言うと、少女達の心持ちが違うのかもしれない。
少女達はどこかで「私はカワイイ」「私はキレイ」「私がイチバン」とか思っていると思う。
女優達にも、当然それはあるはずなのだが、演じている画面からはほとんど感じられない。
これは・・・監督の責任だろうナー・・・もっと女優達を「イジメ」ぬくべきだったんじゃないかな~・・・
緋牡丹お竜さんも、もっと悪者にする方が面白くなったはず・・・
作品とは別に、寺島咲の普通な存在感と杏のビジュアルは将来性を感じた。
主演の福田沙紀ちゃんは・・・今回の作品がミスキャストだったことにして・・・次回作に期待しておこう。
あれだけ女優だらけで、キュンとした色気が全くない作品もめずらしい・・・
Posted by ダッタ at
17:41
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パコの絵本は終わらない!
2008年11月06日

「むかし、むかしあるところに・・・」小さい頃に、ママやバーチャンや保母さんや
色々な人から聞いたお話は・・・やがて絵本での出会いがあり、今ではテレビやビデ
オでの出会いがあり・・・毎回毎回「・・・はい、おしまい!」で終わっても、自分の
中では意識して無くても連綿と続いているのではないだろうか?と、思っている。
つまり一度始まってしまった・・・あるいは一度出会ってしまった・・・本を開いて
しまった「お話し」は、その人の人生が終わるまで続くのである。
この作品の主人公パコは、まさに毎日物語が始まってそれが繰り返されるので
あるが、それでもやはり身体のどこかでお話しは続いていく。
他人との関係の継続を嫌うジジイと、毎日が誕生日の少女は一つの絵本を中心に
関係を継続し変化していく。
なんと優しい救いのあるお話しなのだろうか・・・脇の演技がチョットうるさい
きらいはあるが、オリジナルの舞台同様基本設定が暗いので、あのくらいの明るさ
は許容しよう!
絵作りはCGとの組み合わせで、この作品以降誰がやっても二番煎じと言われる
ことが確実なくらいにブットンでいるし、映画館で観て良かったと思える作品で
おった。
・・・オジサンは・・・泣いたナー・・・次回はDVDで自室の暗がりに包まれて嗚咽して
みたいと思っている。
Posted by ダッタ at
22:53
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